施工計画というと、
「提出用の書類」
「とりあえず整えればいいもの」
そんな印象を持っている人も多いかもしれません。
しかし現場がうまく回るかどうかは、
施工計画の出来でほぼ決まります。
工程が遅れないか。
無理な作業が発生しないか。
事故のリスクは高くないか。
原価や品質は守れるか。
これらはすべて、
工事が始まる前の“施工計画(思考)にかかっています。
施工計画・施工計画書・施工計画図は別物
このブログでは、言葉の混同を避けるため、次のように整理します。
施工計画書や施工計画図は、施工計画を形にしたアウトプットです。
しかし一番重要なのは、その前にある施工計画(思考)です。
施工計画は「書類」ではなく、現場を守るための考え方だ
現場が始まると、まず施工計画を考えます。
その施工計画(思考)を形にしたものが、
総合(共通)仮設計画図であり、各種施工計画図です。
そしてそれらを整理し、方針や仕様としてまとめたものが施工計画書です。
現場の立ち上がり時には、
発注者や監理者に説明し、施工計画書として提出し、承認を得ます。
しかしこのとき、施工計画が
「提出することが目的」になってしまっていないでしょうか。
多くの現場で見てきたのは、
施工計画書や施工計画図が
「説明して終わり」「提出して終わり」
になってしまっている姿です。
ここで一番大事なのは、
書類や図面の体裁ではありません。
工事の先を読み、
どこで詰まりそうか、
どこで事故が起きそうか、
どこで工程や原価が狂いそうか。
それを想像力を持って計画し、形にできているか。
つまり施工計画とは、
書類ではなく「計画する思考」そのものなのです。
計画が甘い現場は、必ずどこかで詰まる
想像力を働かせて、具体的な施工計画を立てていかないと、
現場は必ずどこかで詰まり始めます。
最初から大きく止まるわけではありません。
何となくは進みます。
工程表どおりに日々の作業も始まります。
しかし、決してスムーズではありません。
工程が少しずつ遅れ出し、
段取りに無理が出てきて、
打合せの時間がやたらと長くなります。
現場では、
「それ先にやるんですか」
「昨日の段取りと違いませんか」
と、職長や作業員の小言が増えていきます。
手戻りが増え、余計な手間が掛かり、
人も機械も無駄に動くようになります。
こうして、
工程の遅れは手間に変わり、
手間はそのままコストに変わっていく。
計画が甘い現場は、
派手に失敗する前に、
静かに、確実に苦しくなっていくのです。
若手が施工計画で勘違いしやすいこと
若手現場監督が施工計画に取り組むとき、
よくある勘違いがあります。
一つは、施工計画書が
他の現場のコピーになってしまっていることです。
文章や図面は整っていても、
それが今の敷地条件や建物条件に
本当に合っているかは、あまり考えられていません。
また、施工計画図を
配置図に足場や機械を描けば終わり
だと思っているケースも多く見ます。
図としては成立していても、
実際の作業動線や干渉までは考えられていません。
さらに、
図面を十分に見ないまま
施工計画書や施工計画図を作ってしまうこともあります。
建物の形状や構造を理解しないままでは、
本来必要な計画にはなりません。
業者から提出された計画を、
そのまま使ってしまうのも同じです。
業者の計画は、その業者の作業にとっては最適でも、
現場全体にとって最適とは限りません。
施工計画は、
書類を作る作業でも、図を描く作業でもありません。
その現場で、
どの順番で、
誰が、
どこを使って建物をつくるのか。
その「ストーリー」と「ルール」を決めるのが、
施工計画です。
現場代理人は何を考えて施工計画を立てているか
現場代理人が施工計画を立てるとき、
まず考えているのは
その計画にストーリー性があるかどうかです。
工事の流れが自然につながっているか。
無理なく次の工程へ進めるか。
途中で組み直しが必要になる部分はないか。
特に意識しているのは、
手戻りが発生する可能性です。
計画どおりに流れない現場では、
段取りの組み直しや、
予定外の作業が必ず発生します。
そうなると、
現場はスムーズさを失い、
無理な作業が増えていきます。
無理な作業は、
不安全な状態を生みやすく、
事故のリスクを一気に高めます。
さらに、
工程は遅れ、
それを取り戻すためにお金が掛かり、
余裕を失った現場では品質も落ちていきます。
安全・工程・原価・品質。
どれか一つが崩れると、
残りも連鎖的に崩れていく。
これが現場でよく起きる負の連鎖です。
だから現場代理人は、
「うまくいった場合」ではなく、
「最悪の場合に何が起きるか」を先に考えます。
👉 先に起きる最悪を読み、
それでも破綻しないストーリーを立てる。
それが、
現場代理人が考える施工計画です。
施工計画は現場が始まる前が一番大事
施工計画は、
工事が始まってから考えていては遅いものです。
工事が始まると、
日々の対応に追われ、
腰を据えて考える時間はほとんど取れません。
だからこそ、
施工計画はできるだけ早い段階で考えておく必要があります。
理想を言えば、
見積もり時点で、ほぼ方向性を決めておきたい。
ここで計画ができていないと、
後から必要になった仮設や機械に
予算を掛ける余地がなくなります。
特に、大型揚重機や工事用エレベータなどは、
事前に予約して押さえておかなければ
そもそも確保できないこともあります。
計画は「いつまでに」「どこまで」考えるか
まず、見積もり時点では、
工事全体を見通した施工計画を立て、
それをお金に変えることが重要です。
この段階で、無駄な計画は省いていきます。
次に、着工前。
見積時に立てた計画を、
工程表をもとに再度見直し、
より具体的な計画に落とし込んでいきます。
そして工事が始まってからは、
大きな方針は変えません。
現場状況に合わせて、
細かな部分を微調整していく段階です。
着工前に具体化しておくべき主なポイント
着工前には、少なくとも次のような内容を
具体的にイメージできている必要があります。
これらを工事が始まる前に考え切っているかどうかで、
現場の余裕は大きく変わります。
まとめ|施工計画は「現場を守る武器」だ
施工計画書や施工計画図は、
施工計画(思考)を形にしたアウトプットです。
しかし、書類や図面だけが立派でも、
肝心の施工計画(思考)が薄ければ、
現場は必ずどこかで詰まります。
施工計画は、
誰かに提出するための書類ではありません。
一番時間があり、
一番冷静に判断できる
工事が始まる前に、どれだけ考え切れるか。
それが、
安全を守り、
工程を守り、
原価と品質を守ることにつながります。
施工計画は、
自分と現場を守るための武器です。
この考え方を土台に、
次回からは共通仮設計画や各工種ごとの施工計画を、
より具体的に掘り下げていきます。
次回予告
次回は、施工計画の出発点になる
共通仮設計画(総合仮設計画)を扱います。
まずは「仮囲い・ゲート計画」から解説します。

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