〜施工管理とは違う“見積の視点”を学ぶ〜
こんにちは、現場監督引退です。
前回の第12回では、施工現場での日々の「原価管理の実務」についてお話ししました。
今回はその続きとして、「積算・見積における原価構成」についてご紹介します。
実は、施工中に使われる原価の考え方と、見積・積算で使われる原価構成は大きく異なります。
“現場を動かす原価”と“工事を受注するための原価”では、構造も目的も違うのです。
この違いを理解しておくことで、見積書の構成が読めるようになり、現場監督としての対応力や視野が大きく広がります。
積算・見積と施工原価の違いとは?
現場で使う原価構成は、
- 材料費
- 労務費
- 外注費
- 経費(工事経費、作業所経費、間接経費)
といった「実務でお金がかかる項目」に仕分けて管理します。
一方で、見積書や積算書では以下のような分類になります:
見積=工事の経済設計図 現場原価=現場の実行コスト
積算・見積では“会社全体の工事経営”としての費用構成になっているのが特徴です。
積算は“図面をお金に変える作業”
積算とは、設計図と仕様書をもとに、工事に必要な数量を拾い出し、単価をかけて金額を算出する作業です。
主な流れは以下の通り:
- 図面・仕上表・仕様書を読み込む
- 各工種ごとに数量を拾う(拾い出し)
- 単価(材料・労務など)を設定し、合計金額を出す
- 諸経費や利益を加えて、最終的な見積書に仕上げる
拾い出しと単価設定が積算の肝
積算は“金額を見積もる”というより、“設計を数量と費用に変換する”非常に論理的な作業です。
見積書作成の視点と注意点
現場監督としても、「この見積は妥当か?」「現場でちゃんと施工できる金額になっているか?」という観点を持つことが重要です。
私が実務で特に気をつけていたポイントを挙げます:
- 施工計画を考慮した共通仮設費が見込まれているか
(足場、仮囲い、事務所、給排水、電気、仮設道路、クレーンなど) - 特殊条件が反映されているか
(狭小敷地、夜間搬入、近隣対応など) - 実行予算との差が大きくなりすぎないか
(見積で無理なコストカットをしていないか、職員配置は現実的か)
“あとで足が出る”のは見積の精度が低い証拠
見積に現場の視点が足りないと、予算オーバーにつながるリスクが高まります。
だからこそ、現場経験者の意見が見積にも活かされるべきだと私は考えています。
まとめ:積算・見積の原価構成を理解することは、現場監督に絶対必要な知識
積算や見積で使われる原価構成は、現場での原価管理とは考え方が異なります。
積算は“工事を形にする前段階の計画”であり、見積は“利益を確保するための経済戦略”です。
現場監督としてこの違いを理解し、見積書の構成や数字の意味が読めるようになることは、
絶対的に必要な知識です。追加工事など現場で発生する工事については自分で見積をつくる場合もありますし、将来的に管理職や発注者側、あるいは独立を目指す場合にも必要な力になります。
積算=数量の計画、見積=利益の戦略、原価管理=現場の実行。
この3つを結びつけて理解することが、これからの時代の“考える現場監督”に求められる力です。
積算の拾い方法や考え方は、現場の人からすると少し特殊な場合があるので、こういった本で考え方を学ぶと理解が早いです
次回予告
次回は、「施工計画① 共通仮設計画」についてお話しします。
仮囲いやゲートの位置、仮設電気・給排水、仮設事務所や揚重設備など――
現場を動かすための“舞台づくり”ともいえる共通仮設の計画は、
安全・品質・工程すべてに影響する大切な初期段階です。
これまで私が実際に取り組んできた共通仮設計画の進め方や、
検討時に重視していたポイントを、具体例とともに紹介します。
現場は仮設から始まる。段取りの第一歩を一緒に考えていきましょう!
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