第7回:現場監督にとって“信頼される存在”になるために大切なこと

現場監督

こんにちは、現場監督引退です。
現場監督という仕事を25年続けてきた中で、私が強く実感しているのは、「人との信頼関係こそが現場を動かす力になる」ということです。
図面や工程表だけでは建物は完成しません。現場では、数多くの人たちの協力と信頼が必要不可欠です。
今回は、私が現場で信頼されるために心がけてきた具体的な行動や考え方をご紹介します。

約束を守る

どんなに忙しくても、一度口にした約束は必ず守る――これは私が常に意識してきた基本姿勢です。
「明日までに確認します」「週明けには返答します」と言ったからには、たとえ回答が出ていなくても、進捗を報告することが大切です。
小さな約束を誠実に守ることが、やがて大きな信頼へとつながっていきます。

現場に足を運ぶ

事務所でのデスクワークに追われる日々でも、現場に出向くことを最優先にしていました。
現場に出たら、自分のイメージしている現場の進捗通りか、自分が思っている納まりでできているかを確認します。
このとき、あまり進んでいないなら職長に声掛けして工程の確認をする。早く進んでいれば、「さすがですね!」と声を掛ける。
納まりが違うなら、こうしたいと説明する。思い通りにできていれば、「よくできていますね!」と声掛けする。
こういうことの繰り返しで、未然に遅れや失敗を防げ、更に信頼関係も築けていけます。
特別な用事がなくても、出会った人には「どうですか?」「何か困ってませんか?」と声をかけるだけで、職人さんたちとの信頼関係は深まります。
現場の空気を感じ、寄り添う姿勢が、言葉以上に信頼を生むのです。

誰に対しても態度を変えない

現場には立場の違う多くの人が出入りします。
私は、どんな相手に対しても礼儀を忘れず、平等に接することを心がけてきました。
現場監督だからといって、職人さんに横柄な態度を取らず、若い人にも敬意をもって接する。そうした姿勢が自然と周囲に伝わり、信頼が積み重なっていきます。

ごまかさない・逃げない

現場では予期せぬトラブルやミスがつきものです。
そのときに重要なのは、言い訳をせず、自分の責任を正直に認めること
「申し訳ないです」「こちらの確認不足でした」「すぐ対応します」と素直に伝え、次にどうするかを明確に示す。
真摯な対応こそが、信頼を築く最短ルートです。

技術的な裏付けを持つ

信頼は人柄だけでは得られません。
現場の判断を下すには、正しい知識と経験が必要です。
私は常に分からないことは調べ、資格にも積極的に挑戦してきました。
新しい工種が始まるときには、事前に工事の内容を把握し、要求される基準を確認したうえで職人さんに説明します。
技術的に信頼されることで、「あの人に聞けば大丈夫」と安心して相談される存在になれます。

相手の立場に立って考える

依頼をする際も、ただ指示を出すだけでは不十分です。
「なぜそれが必要か」「どのような背景があるか」をきちんと伝えることで、相手の納得感が変わり、協力してもらいやすくなります。
「頼まれ方ひとつで人の動きは変わる」――それを実感する場面は、現場でいくらでもあります。

【まとめ】

信頼は一朝一夕では築けません。
日々の態度や言動、何気ない会話の積み重ねが、「この人なら任せられる」と思ってもらえる土台になります。
そしてその信頼は、現場を円滑に進める最大の力になります。

現場監督にとって一番の武器は、「この人が言うならやってやろう」と思ってもらえること。
だからこそ、信頼される監督を目指すことが、最も大切な仕事のひとつだと私は思います。
人望があり、人を集められる現場監督が優秀な現場監督です。


【次回予告】

次回は、「現場監督のキャリアパス〜この先どんな道がある?〜」というテーマで、
現場経験を積んだ先にどんな未来があるのかをご紹介します。
建設業界で長く働いていくヒントになれば幸いです。

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