こんにちは、現場監督引退です。
今回は、私が25年間現場監督として歩んできた経験をふまえ、「現場監督という仕事のやりがいと、しんどさ」について、率直にお話ししていきます。
この仕事に就こうか迷っている方、若手として現場で日々格闘している方、そして建設業界に少しでも興味がある方に向けて、現場監督のリアルを知っていただければと思います。
建物をつくる、というダイナミックなやりがい
現場監督として最も大きなやりがいは、「目に見えるカタチに残るものづくり」に関わっているという実感です。
図面だけだったものが、1本の杭から始まり、基礎、柱、梁、壁、仕上げ…と少しずつ建物の形になっていく。
そして完成して引き渡したその瞬間、「このプロジェクトを成し遂げたんだ」という達成感に包まれます。
これは、他の仕事ではなかなか味わえないスケール感です。
とくに大規模な公共施設や商業施設などは、工期が1年を超えることも多く、そのぶん完成時の喜びは格別です。
「自分がつくった建物が地図に残る」「誰かの暮らしや仕事を支える場所になる」
そう思える瞬間が、この仕事の何よりのやりがいだと感じています。
多くの人と関わり、チームで一つのものをつくる面白さ
建設現場は、職種も立場もさまざまな人たちが集まって一つの目標に向かう場所です。
職人さん、職長さん、設計者、設備・電気業者、行政、施主…。
それぞれの専門性を活かしながら、一つのチームとして現場を動かしていくのが、現場監督の仕事です。
ときには意見がぶつかることもありますが、それを調整し、最適な落としどころを見つけていくのは、現場監督の腕の見せどころでもあります。
チームとしての連携がうまくいった現場では、不思議と事故もトラブルも少なく、工事も順調に進みます。
その一体感を味わえるのも、この仕事ならではの魅力です。
信頼される存在になるという喜び
現場監督として長く仕事をしていると、徐々に「人から頼られる」ようになってきます。
・「〇〇さんの指示なら間違いない」
・「一緒に仕事をすると安心できる」
・「あの所長、筋が通ってるよね」
そんな言葉をもらったときは、何にも代えがたい嬉しさがあります。
信頼されるには時間がかかります。ミスや反省もたくさん経験して、やっと少しずつ認めてもらえる。
でも、それだけに「信頼」は現場監督の勲章のようなものだと私は思っています。
ここからは“しんどさ”の話も正直に…
現場監督の仕事には、やりがいがある反面、やはりしんどいこともたくさんあります。
ここでは、それを包み隠さずお伝えします。
プレッシャーとの戦いの日々
現場監督は、施工全体の責任者。
工期を守ること、品質を確保すること、安全を保つこと、コストを管理すること…。
すべてが自分の判断と采配にかかっていると言っても過言ではありません。
失敗すれば、工事が止まり、多くの人に迷惑がかかる。
とくに若手の頃は、「本当にこれで大丈夫なのか?」と不安に押しつぶされそうになることもありました。
ミスが許されない中で、プレッシャーを抱えながら冷静に現場をコントロールする。
その精神的な負担は、想像以上に大きいと思います。
時間的な拘束、プライベートとの両立の難しさ
現場監督の1日は、朝が早く夜も遅くなりがちです。
とくに工期の厳しい現場や、突発的なトラブルが起きたときなどは、休日返上で現場対応に追われることもあります。
また、「明日は生コン打設だから天気が気になる」「図面チェックしないといけないから日曜だけど現場に顔を出すか」
…と、仕事のことが常に頭から離れないというのも、現場監督あるあるかもしれません。
プライベートの時間を持つことが難しく、家族との時間が十分に取れないことも多々ありました。
このあたりは、建設業界全体の働き方の課題だと感じています。
ときには“板挟み”になることも
現場監督は、施主や設計監理からの要求(コストや工程、仕様の変更)と、現場の実情(職人の手配や施工方法、進捗具合)との間で調整役になる立場です。
理不尽な指示にどう応えるか、現場の声をどう上に伝えるか…。
時には苦しい判断を迫られる場面もあります。
自分ではどうにもできない状況の中でも、最適な判断をして現場を止めずに進めることが求められる。
そこに、精神的なタフさが必要になります。
続けられるのは“ものづくりの魅力”と“人のつながり”から
「しんどいことも多いのに、どうして続けられるのですか?」
と聞かれることがあります。
答えはシンプルで、「ものづくりの楽しさ」と「人のつながり」があるからです。
ものづくりの魅力
建物をつくるこの仕事が好きで楽しんでやっています。
自分で苦労して考えたものや技術屋としてのこだわりが徐々に形になっていく、
自分の知らない商品や納まり・技術が無限にある、
グレードとコストのバランスを考えながら、提案や交渉する、
などなど、やってて飽きることはありません。
探究心とやりがいを感じられるこの仕事は魅力いっぱいです。
人のつながり
自分のことを信頼してくれる協力業者・職人さんがいる。
一緒に苦労してくれる同僚・部下がいる。
最後に笑って「おつかれさま」と言える仲間がいる。
そういう人との関係があったから、私は25年間この仕事を続けることができました。
建物は、人がつくります。
人を動かすのは、信頼と誠意です。
それが、この仕事の本質なんだと思います。
最後に:これから現場を目指すあなたへ
現場監督という仕事は、決して楽ではありません。
でも、自分の力で現場を動かす面白さと、達成感は、やってみないと味わえないものです。
もしあなたが、「やってみたい」「現場で力をつけたい」と思っているなら、ぜひ一歩踏み出してみてください。
失敗も、悩みも、迷いも、すべてがあなたの糧になります。
私もそうやって一歩ずつ成長してきました。
このブログが、そんな皆さんの背中を少しでも押せる存在になれればうれしいです。
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次回予告
次回は、「若手をどう育てる?ベテラン現場監督として伝えたいこと」というテーマで、
これまでの現場での若手指導や人材育成の経験をもとに、私なりの考えをお話しします。


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