こんにちは、現場監督引退です。
前回は「現場監督に向いている人ってどんな人?」というお話をしました。今回はもう少し具体的に、「どうすれば現場監督になれるの?」というテーマで書いてみたいと思います。
■ 現場監督になるにはどうすればいいの?
建設業界に興味があるけれど、「現場監督ってどうやってなるの?」「文系出身でも大丈夫?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、現場監督として働くための基本的なルートや資格、必要な経験、そして文系や未経験からでも目指せるのか?といったポイントについて、私の経験を交えてお話しします。
現場監督になるには?
まず知っておいてほしいのは、現場監督には必須の国家資格がなくても仕事に就けるということです。
ただし、工事を安全・正確に進めるうえでの知識や判断力が求められるため、実務経験と資格取得がキャリアアップには欠かせません。
現場監督になる主なステップ
① 建築系の学校を卒業する
建築系の専門学校・短大・大学などで基礎を学ぶとスムーズです。
文系出身でもチャレンジは可能ですが、施工や構造などの専門知識が必要となるため、学ぶ姿勢が大切です。
② 建設会社に就職し、現場に配属される
ゼネコン(総合建設会社)や地場工務店、設備系のサブコンなどに就職し、現場監督としての実務をスタートします。
最初は先輩について回りながら、現場の流れや管理業務をひとつずつ覚えていきます。
③ 経験を積み、資格を取得する
ある程度の経験を積んだら、次はステップアップのために資格取得を目指します。
資格があれば、より大きな現場や役職を任されるチャンスも広がります。
④派遣会社に登録し、派遣社員として現場で働く
最近はゼネコン社員が不足しており派遣会社から現場監督として人材を入れるケースが多くなっています。
フリーランスとして働きたい人や、未経験者の選択肢になります。
また、優秀な人は正社員として引き抜かれるケースも多く、実力・努力しだいではありますが、ゼネコンへ就職する方法の一つとして考えられます。
資格取得について詳しく解説
現場監督として取得しておきたい代表的な資格には、以下の2つがあります。
【1】建築施工管理技士(一級・二級)
この資格は、施工管理の専門知識と現場経験を証明する国家資格であり、公共工事や大規模工事には必要不可欠です。
試験に合格して施工管理技士になると、
- 営業所ごとに置く専任の技術者
- 建設工事に置く監理技術者または主任技術者
になることができます。
現場監督にとっては監理技術者または主任技術者になれる資格ということで必須資格と言えます。
令和3年から技術検定制度が変更され、「技士補」制度が新設されました。これにより、学歴や経験がなくても第一次検定(学科)に挑戦できるようになり、間口が広がりました。
二級建築施工管理技士
- 第一次検定
- 満17歳以上であれば誰でも受験可能
- 第二次検定
- 2級第一次検定合格後、実務経験3年以上
- 1級第一次検定合格後、実務経験1年以上
- 一級建築士試験合格後、実務経験1年以上
- 令和10年までは旧受験資格でも受験可能
一級建築施工管理技士
- 第一次検定
- 満19歳以上であれば誰でも受験可能(年齢制限なし)
- 第二次検定
- 1級第一次検定合格後、実務経験5年以上(特定実務経験1年以上を含む場合は実務経験3年以上、監理技術者補佐としての実務経験の場合は1年以上)
- 2級第二次検定合格後、実務経験5年以上(特定実務経験1年以上を含む場合は実務経験3年以上)
- 一級建築士試験合格後、実務経験5年以上(特定実務経験1年以上を含む場合は実務経験3年以上)
- 令和10年までは旧受験資格でも受験可能
受験資格については少し複雑なところがるので、建設業振興基金HPを確認してください。
試験は「第一次検定(学科試験)」と「第二次検定(実地試験)」に分かれており、実地では実務経験を記述する課題も出されます。
現場での経験を日々メモしておくと、試験対策としても役立ちます。
現場監督してやっていくには、最終的には1級建築施工管理技士を目指してほしいと思います。
【2】建築士(一級・二級)
建物の設計・工事監理を担う資格ですが、現場監督にも大いに役立ちます。特に民間工事では、建築士資格を持つ現場監督は重宝されます。大きな工事になると現場代理人や監理技術者の資格要件として指定される場合もあります。
令和2年の制度改正で、指定学科卒業者は実務経験なしで受験できるようになりました。
二級建築士
- 指定の建築系学科(大学・短大・専門学校)を卒業していれば、実務経験なしで受験可能
- 建築設備士
- 建築に関する学歴がない場合は、7年以上の実務経験が必要
一級建築士
- 大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業した者
- 二級建築士
- 建築設備士
- その他国土交通大臣が特に認める者
学歴や資格要件については建築技術教育普及センターHPを確認してください。
試験は「学科試験」と「製図試験」の二段構成。特に一級は難関資格として知られますが、
現場での経験がある人は、計画や構造など各科目の問題への理解がスムーズになることもあります。
◎ 資格があることで広がるチャンス
これらの資格を取得する事によるメリットも大きいので、早いうちから計画的に挑戦しておくのがおすすめです。
【資格取得のメリット】
- 主任技術者や監理技術者の選任対象になる
- 任される現場規模や内容が広がる
- 給与や役職の向上に直結会社によっては試験費用の補助・手当制度がある
現場で経験を積むことが一番の学び
現場監督のスキルは、机上ではなく“現場”でこそ身につきます。
工程の調整、職人さんとのやりとり、天候対応や材料の遅れ…。
毎日がトラブルと判断の連続であり、その一つひとつが自分の成長につながります。
技術の進歩も著しく、どんなにベテランになっても「まだまだ勉強だ」と思う場面は多く、現場に学び、現場で育つ仕事です。
文系や未経験でもなれるのか?
答えは「YES」です。
私の周囲にも、文系出身で現場を任されている優秀な監督が何人もいます。
最初は図面や用語に戸惑うこともありますが、「モノづくりが好き」「人と関わるのが好き」という気持ちがあれば、しっかり力を発揮できます。
大切なのは“学び続ける姿勢”です。
【まとめ】
現場監督になるには、特別な免許や資格がなくても始められます。
ですが、現場で信頼される監督になるためには、実務経験と資格取得が大きなカギとなります。
建設現場は「現場で育つ仕事」です。
毎日の経験がそのまま力になり、やがて大きな建物を任される存在になっていきます。
「やってみたい」という気持ちがあれば、その時が第一歩です。
このブログが、建設業界に踏み出すきっかけになればうれしく思います。
【次回予告】
次回は、「若手現場監督がよくつまずくポイントとその乗り越え方」についてお話しします。
悩みながらも成長していくためのヒントを、実体験を交えてお伝えしますので、ぜひご覧ください。
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